人間の価値

よく「価値のない人間」という言葉を耳にする。
「価値」とはなんであろうか。
「価値のある人間」とは、「誰かに貢献している人間」という意味なのであろうか。

誰かに貢献しているからなんであるだ。
誰かに貢献していないからなんであるのだ。
誰かに貢献していようとしていまいと、「人間」は「人間」である。
動物である。
肉があり骨がある。
細胞がある。
物質で構成されている。

「価値のある物質」とは何か。
「価値のない物質」とは何か。

そもそも「価値」とは誰が決めている?
おそらく発言者の中の「常識」や「世間」であろう。
「常識」とは何か。
それは立場や考え方次第で変わるものだ。
「世間」とは何か。
それは社会情勢によって変わるものだ。

もし「あなたは価値のない人間だ」と言われたとしたら、それを変換すると、「あなたは自分(発言者)が勝手に常識だと考えている一般的な、世間的な、あいまいとした「価値」というものがない人間だと自分は思っている」と言われているに過ぎない。
だから考えすぎたり思い詰めたりする必要はない。

偏差値が高い方が価値がある。
年収が高い方が価値がある。
交際人数が多い方が価値がある。
慕われている人間が多い方が価値がある。
まやかしだ。
偏差値が高い人間も低い人間も、
年収が高い人間も低い人間も、
交際人数が多い人間も少ない人間も、
慕われる人間も慕われない人間も、
いつか死ぬ。
燃やせばただのカルシウム。
物質。

「価値のある物質」とは何か。
「価値のない物質」とは何か。
答えられる者も物質であるし、答えられない者もまた物質である。