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脱法ハーブを吸った①

※以前STORYS.JPというサイトに掲載したところ削除されてしまった記事をそのまま記載します

 

かつて脱法ハーブを吸っていた時期がある。
詳しく年齢は書けないが、高校生の頃と、20代前半の頃である。

下書きしたら長くなったので今回は高校生の頃の話のみです。

高校生の頃は、世間での呼称は「合法ハーブ」というよりそもそも世間に認知されていなかったと思う。
今もあるか知らないが合法ハーブまとめwikiなるものが存在し、wikiを見ても銘柄がそれほど無かったように思う。
通販業者も少なかった記憶がある。
wikiに載せられている通販業者を利用して、おすすめされているものを1袋買った。
4000円ほどだったと思う。
届いた袋の中には乾燥された緑色の植物の破片が詰め込まれており、嗅ぐと独特の匂いがした。
最初はまず、ネットで見つけた画像をもとにアルミホイルでパイプを作って吸ってみた。
だが当時喫煙していなかった自分は吸い方がよく分からず、何も感じることはできなかった。
しかし何度か試してみたある時、口から細い煙を吹くことができた。
「これは吸えた」と思った自分は、ベッドで仰向けになって寝て経過を観察してみることにした。
なぜだか、気持ち良い。
全身が敏感になっているのか?
息をしてお腹が動くたびに服の裏地と身体がこすれ、気持ち良い。
つま先から胸に向かって快感の波が何度も押し寄せてくる。
インパクトは無かったが、素朴な気持ち良さだった。
これが脱法ハーブで気持ち良いと思った最後の1回だった。

自分は毎日のように吸おうとは思っていなかった。
ハーブも机の中にしまったままだった。
ある日の夜なんとなく、吸ってみようと思った。
楽天で買って届いていたボングを使ってみたかったのもある。
夜は家族が家にいる時間帯で、喫煙していない自分の部屋から煙の匂いがしたら不審がられると思い、窓を半分開けて身を乗り出して着火した。
ひと吸いだったが、今考えるとものすごい量の煙を吸ってしまった。
普通のタバコなら気分が悪くなるレベルの量を、しかも深吸いした。
喫煙していなかった自分はその尋常ではない煙の量に気付かず、ちゃんと煙が吹けたのを確認しては「吸えた」と一安心していた。
ボングの水を窓から捨て、机の中にしまい、さて横になろうと座っていた椅子から立ち上がった。

・・・
何かが回転している。
・・・
何かが回転している。
よく考えると足が動いているように思う。
足を止めてみよう。
少しずつ回転が遅くなっていく。
線のような物が見える。
線のような物が見える。
自分は何か嫌な予感がしてぞわっとした。
回転していた線が止まっていく。
「えーーーっっっ!!!」というような、心臓の止まるようなものすごいショックを受けた。
自分は畳の縁の上を、1人で行ったり来たりしていたのだ。
下を向いてずっと歩いては踵を返し、歩いては踵を返しを繰り返していたから、畳の縁が回転しているように見えたのだろう。
こんな姿をもし家族に見られていたらどうしよう・・・!と部屋のドアを見るが、閉まったままであった。
安心しようと思ったが、自分は「なぜどうしようと思ったんだっけ?」と思っていた。
「なぜどうしようと思ったんだっけ?」
「なぜどうしようと思ったんだっけ?と思ったんだっけ?」
「なぜどうしようと思ったんだっけ?と思ったんだっけ?と思ったんだっけ?」
「なぜ・・・」気が付くとさっきから畳の縁の上で突っ立ったままだった。
こんな姿を見られていたら・・・!再びドアを見るが、何も変わらない。
自分はベッドの上に両手をついた。
「どうしよう」と思っていた。
「どうしよう・・・」
「なぜどうしようと思ったんだっけ?」
「なぜどうしようと思ったんだっけ?と思ったんだっけ?」
「なぜどうしようと思ったんだっけ?と思ったんだっけ?と思ったんだっけ?」
気が付くとベッドに両手をついたまま固まっていた。
家族に・・・!と思いまたドアを一瞥する。
変わりはなかったが、このまま固まったままだともし家族に部屋に入られた場合不審がられると思い布団を被ることにした。
布団の中で、自分は「早くこの状態終われ!」と思っていた。
時計を見た。
しばらく待ってみて、また時計を見た。
5秒しか経っていなかった。
今度はとにかく「終われ!終われ!」と思いながら辛抱してみることにした。
悠久の時を過ごしたと思った。
時計を見ると、30秒しか経っていなかった。
自分は本気で絶望し、生まれて初めて「神様!」と思った。
しばらく絶望の中だったが、ふとあることを閃いていた。
「オナニーをしてみよう」
すぐさま始めると、読みは当たっていた。
「なぜしているんだっけ???」
「なぜしているんだっけ???と思ったんだっけ???」
「なぜしているんだっけ???と思ったんだっけ???と思ったんだっけ???」
この間、身体はオンのスイッチしかない機械のように高速で動きっぱなしだった。
「なぜ?なぜ?なぜ?・・・!!!」
射精した。
尋常ではない量の射精をした。
「これがキメセクか・・・」とオナニーなのに勝手に思っていた。
疲れて大きく深呼吸していたが、やはり「この状態」の終わる余地は見えないでいた。
「神様・・・」と思っては、些細なことで「なぜ?なぜ?」のループにはまる。
気が付くと夜が更けていた。
とりあえずシャワーを浴びようと頑張って浴室まで辿り着いたが、自分は鏡を見て悲しくなった。
そこに映っていたのは目がとろんとしていて焦点が合っていない男の顔、「イっちゃっている」自分の顔だった。
シャワーを浴びて落胆しながら自室に戻る。
横になると、少しだけ眠りにつくことができた。
目が覚めたらピーク時よりはだいぶ回復していたが、まだ違和感が残っていた。
しかし動けることは動けるので、ハーブを全てトイレに流して捨てた。
「二度とやるか!」当時の自分は、そう強く思った。

それから2、3日ほど違和感が取れずに苦しんでいたが、次第に違和感が取れ、やっと「生きている」と思うことができた。
しかし、しばらくしてから時々フラッシュバックのようなものに悩まされるようになってしまった。
出かけたり、友達と話したりしている最中に、「あれ、俺何してるんだっけ」と立ち止まってしまう。
誰にも言えない症状だった。
この症状が完全に現れなくなるまで、半年から1年はかかったと記憶している。